夜勤明けのバイクは危険?自分なりの「乗らない」安全基準
夜勤を終えて病院を出ると、驚くほど抜けるような青空が広がっていることがあります。
平日特有の静かな午前中。
「こんな日は、少しだけでもバイクで走りたい」。
シフト勤務のライダーなら、誰もが一度は感じる衝動ではないでしょうか。
しかし、疲労を抱えた体での運転は、私たちが想像する以上のリスクを伴います。
今回は、安全に長く趣味を楽しむための、私なりの「乗らない」選択についてお話しします。
乗りたい衝動と重たい体のジレンマ
長い夜の勤務を終え、朝日を浴びながら帰路につくとき。
緊張の糸がふっと解け、妙な高揚感に包まれることがあります。
心地よい風と空いた道路を目の当たりにすると、ガレージで眠る大型バイクのエンジンを無性に目覚めさせたくなります。
平日の昼間という、シフト勤務だからこそ味わえる特権。
誰にも邪魔されない自由な時間は、不規則な生活を送る私たちにとって、とても魅力的なご褒美です。
しかし、その高揚感の裏で、体は確実に悲鳴を上げています。
重たい足取り、かすかにぼやける視界、そして頭の奥に残る鈍い疲労感。
乗りたい気持ちと、休みたい体の間で揺れ動くジレンマ。
かつての私は、この誘惑に負けて無理にヘルメットを被ることもありました。
睡眠不足がもたらす「見えない死角」
看護師として働いていると、睡眠不足が人間の身体と認知機能にどれほどの悪影響を及ぼすかを、嫌というほど目の当たりにします。
長時間起き続けている状態での脳の機能は、アルコールを摂取して酔っている状態とほぼ同じレベルまで低下するそうです。
バイクの運転は、常に全身の感覚を研ぎ澄ませければなりません。
四輪車が突然車線変更をしてきたとき。
交差点で歩行者が飛び出してきたとき。
バイクの重い車体を操るには、コンマ何秒の判断の遅れが致命傷に繋がります。
「少し走れば目が覚めるだろう」「慣れた道だから大丈夫」。
そんな自分の感覚への過信こそが、一番の死角です。
疲労状態では、危険を察知する能力そのものが鈍っているのです。
家族の待つ家に無事に帰るという当たり前の日常を守るためにも、身体の限界を素直に認める勇気が必要です。
勇気を持って「乗らない」を選ぶ休日の朝
そこで私は、自分なりの明確な安全基準、マイルールを設けることにしました。
夜勤明けで少しでも目に重さを感じたり、足元がおぼつかない感覚があったりする日は、絶対にキーを回さない。
どれだけ天気が良くても、きっぱりと諦めることにしています。
その代わり、ただガレージの椅子に座り、コーヒーを飲みながら愛車を眺める時間を作ります。
少し気になっていたタンクの汚れを拭き取ったり、チェーンの状態を確認したり。
エンジンをかけなくても、バイクの冷たい金属に触れ、丁寧に磨き上げるだけで、心は不思議と満たされていきます。
走ることだけがバイクの楽しみではありません。
乗らない決断を下せることこそ、大人のライダーの証だと思います。
自分の身体を労わることは、心配してくれている家族を安心させることにも繋がるはずです。


