看護師が勧める乗車前の時短ストレッチ

ストレッチ方法

夜勤明けの疲れから気持ちを切り替えるために、私はバイクに乗る時間を大切にしています。限られた時間で楽しむ短時間のライドは、日常から少し離れられる貴重なひとときです。とはいえ、勤務後は首や肩、腰まわりに重さを感じることもあり、そのまま何も考えずに走り出すのは避けたいところです。
看護師という仕事をしていることもあり、私は乗車前に数分だけ体を動かしながら、その日の状態を確認するようにしています。ストレッチをすれば必ず疲労や事故を防げるというものではありませんが、「今日はいつも通り動けるか」を確かめる時間にはなります。今回は、私が乗車前に取り入れている短時間の体ほぐしについてお話しします。

首と肩は無理に伸ばさず、ゆっくり動かす

ヘルメットをかぶって同じ姿勢を続けるバイクでは、首や肩まわりに疲れを感じることがあります。そこで乗車前は、深呼吸をしながら首をゆっくり左右へ向けたり、肩を上げ下げしたりして、動かしにくいところがないか確認します。首を勢いよく大きく回したり、反動をつけて強く伸ばしたりする必要はありません。痛みのない範囲で、普段と違う違和感がないかを見る程度で十分です。
肩をゆっくり回したり、肩甲骨を寄せるように動かしたりすると、長時間同じ姿勢で固まっていた上半身を動かすきっかけにもなります。ただし、こうしたストレッチだけで走行中の疲労や事故を防げるとは言い切れません。むしろ「右を向きにくい」「肩に強い痛みがある」と気づいた時に、その日のライドを短くする、あるいは見送る判断につなげることの方が大切だと考えています。

腰や股関節も「柔らかくする」より状態を確認

バイクでは長時間同じ姿勢になりやすく、腰や脚に疲れを感じることもあります。乗車前には少し歩いたり、ふくらはぎを軽く伸ばしたり、股関節を無理のない範囲で動かしたりして、下半身の状態も確認します。「ふくらはぎは第二の心臓だから伸ばせば全身の血流が大きく改善する」といった説明を見かけることもありますが、乗車前の数分のストレッチだけで大きな効果を期待するより、体を軽く動かして違和感を確かめるくらいに考える方が現実的です。
股関節まわりも、深く腰を落として強く伸ばす必要はありません。軽く膝を曲げたり、脚を前後に動かしたりしてみて、痛みや動かしにくさがないかを確認します。ストレッチによって柔軟性が一時的に高まることはありますが、それだけで車体コントロールが格段に良くなるわけではありません。体が重い、腰が痛い、足に力が入りにくいと感じるなら、無理をして走り出さないことが一番の安全対策です。

夜勤明けこそ「本当に乗れる状態か」を確認する

身体をほぐすこと以上に大切なのが、その日の疲労や眠気を軽く見ないことです。夜勤明けは、自分では動けるつもりでも集中しにくかったり、ぼんやりした感覚が残っていたりすることがあります。そんな状態は、数分ストレッチをしたからといって帳消しになるものではありません。愛車の横で深呼吸をし、体を軽く動かす時間は、「これから走るための準備」というより、「今日は本当に走って大丈夫か」を自分に確認する時間だと思っています。

眠気が強い日や疲労が抜けていない日は、まず休む。少し疲れている程度でも、距離を短くしたり、休憩を多めに取ったりする選択肢があります。家族の待つ家へ無事に帰るところまでがツーリングです。走りたい気持ちより体の状態を優先し、安心して楽しめる日だけエンジンをかける。その判断も、長くバイクを楽しむための大切な準備だと感じています。